第2回講座の趣旨:
映画『オッペンハイマー』(クリストファー・ノーラン監督、2023年)の観客動員数は100万人を超えています。同映画は原爆実験について世界中の人々が考える「効果」があったといえます。しかしながら、映画ではオッペンハイマーは広島・長崎の惨状は見ていない設定になっており、原爆、そして水爆によるフォールアウトも描かれていません。もう一人の主人公ともいえるストローズ米原子力委員会委員長もオッペンハイマーを追及・追放した人物として描かれる一方で、水爆実験の責任者として被災者を軽視した人物としては描かれていません。核時代を考えるにあたって、同映画の影響力を考えると、多層的に検証する必要があるのではないでしょうか。
今回の講座では、核時代を表象する作品を制作しているアーティストの蔦谷楽さん、原作者の一人マーティン・シャーウィン博士への取材経験のある中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター長の金崎由美さん、そしてパグウォッシュ会議評議員でもある長崎大学教授の鈴木達治郎さんに映画『オッペンハイマー』について議論していただきます。
日時:2024年11月月8日(金) 10:00~12:00
場所: ZOOMウェビナーを利用したオンライン開催
申し込み: 要 こちらの<URL>より申し込みください。
ウェビナー登録 – Zoom
参加費:無料
タイトル:核時代を考える:映画『オッペンハイマー』で描かれたこと、描かれなかったこと
パネリスト:蔦谷楽(アーティスト)、金崎由美(中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター長)、鈴木達治郎(長崎大学教授・パグウォッシュ会議評議員)
司会:高橋博子(奈良大学教授・日本パグウォッシュ会議運営委員・PRIME研究員)
共催:日本パグウオッシュ会議
世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会
明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
ちらし:2024年度公開講座② チラシ
共催講座について:日本パグウォッシュ会議、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会およびPRIME(明治学院大学国際平和研究所)の三者は、2018年以来、市民に開かれたシンポジウムを共催してきました。
包括的テーマは、当初の「核の脅威削減に向けて」から「パグウォッシュ会議と『非戦』の思想」、そして現在の「核時代における非戦」に変わりましたが、貫くものは、人類共滅を防ぐための、核廃絶と戦争放棄という、ラッセル=アインシュタイン宣言に示された理念です。
特に今年度は、昨年来のウクライナでの戦争が収まらぬなか、核大国による国際法無視の武力行使という、私たちの理念に真っ向から挑戦するような現実が、目の前で展開しています。終末時計が、核時代が始まって以来、もっとも真夜中に近づいているのです。
奈落の淵から引き返すため、私たちは、科学的知見に基づいて、新たな展望を社会に提供することをめざします。市民と科学者、宗教者が理性的に対話する場をひろげて、核兵器廃絶と非戦の道を歩む思想と運動を、一層豊かなものにしていきたいと願っています。