この度、WCRP日本委員会青年部会、第14代幹事長に就任することとなりました。青年部会は、1973年5月15日に発足し、『出会い・啓発・実践』の3つの柱を発足時より掲げて活動して参りました。
WCRP日本委員会の青年部会は、様々な宗教に所属している青年たちが、自分たちの教えを理解するのと同じように、他の教えを理解することから、出会いは始まります。宗教間対話・宗教協力の土台はここから育まれることになり、青年たちが交流をする大きな一歩となります。不思議なことに、自分の教えを学んでいる青年が、他の教えを学ぶと、その後はもっと自分の教えを知り、理解したいと思うようになります。そうやって繰り返されることで、青年たちは自然と宗教協力の土台を育んでいくことになります。
それを私が目の当たりにしたのが、2010年の「ARMS DOWN! 共にすべてのいのちを守るためのキャンペーン」の時です。私が青年部会に初めて参加したのがこの年で、すでに動き始めていた「ARMS DOWN!」の活動に参加していきました。この活動は、各教団の青年たちの頑張りで各地に広がり、最後の式典が奈良の東大寺で開催されました。集まった大勢の青年たちを見た時に、青年部会が培ってきた宗教間対話・宗教協力の大きな力と今後の更なる可能性を感じました。
比叡山を開かれた伝教大師・最澄上人のお言葉に、「鳥を捕えるには、網の目がたった一つの網だったら鳥を捕らえられないと同様に、一つの宗派だけでは、すべての人々を救うことはできない」というのがあります。まさに宗教間対話・宗教協力の土台はここからあったのです。
青年部会は3年後の2023年に50周年を迎えます。今まで、諸大徳の先生方が育んでこられたことを微力ではございますが、少しずつ広げていけたらと思います。
最後に、青年の時に自宗を知ることはもちろん、他宗教を知り、共に語り合い、そして行動することによって連帯意識を育むことこそが、次世代へ繋がる道であると思います。まさに『出会い・啓発・実践』の3つの柱を育んでいくことが、50周年、またその先の青年部会の新たな一歩に繋がっていくと信じます。
(WCRP会報2020年7月号より)