核兵器廃絶と戦争放棄の理念を掲げる「ラッセル=アインシュタイン宣言」から70年。今なお続く核の脅威と戦争の現実に立ち向かうため、科学者、宗教者、市民が共に集い、対話を通じて未来への道を模索するための第3回、第4回の公開講座を開催いたします。
今年度のシリーズでは、核兵器廃絶を目指した日本被団協の歩み、ベトナム戦争における反戦運動、そして戦争をなくすための科学者と市民の役割について、国内外の専門家がそれぞれの視点からお話しします。オンラインで開催され、参加費は無料となっておりますので、ぜひご参加ください。
共催:日本パグウオッシュ会議 (https://www.pugwashjapan.jp/hisen2024)
世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会 (https://www.wcrp.or.jp/information/pugwash_prime_wcrp_seminar2024-02/)
後援:明治学院大学国際平和研究所(PRIME)(https://prime1986.meijigakuin.ac.jp/event-category/2024年度/)
講演:田中煕巳 (日本被団協代表委員)
司会:高橋博子(奈良大学教授・日本パグウォッシュ会議運営委員・PRIME研究員)
日時:2025年4月3日(木) 13時~15時
場所:ZOOMウェビナーを利用したオンライン開催
参加費:無料
申し込み: 要
開催日時: 2025年4月3日 01:00 PM 大阪、札幌、東京
トピック: 日本パグウォッシュ会議公開講座「核時代における非戦」第3回
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◆第3回講座の趣旨◆
今年はラッセル=アインシュタイン宣言(1955年7月9日)から70周年にあたります。ビキニ水爆実験による死の灰(フォールアウト)と核戦争への危機感から同宣言は発せられました。昨年日本被団協にノーベル平和賞を授与したノルウェーノーベル平和委員会のヨルゲン・バトネ・フリードネス委員長はラッセル=アインシュタイン宣言の言葉「あなたが人間であること、それだけを心に留めて、他のことは忘れてください」を引用し。「今日、私たちは改めて自問しなければなりません。私たちは人間性を忘れてはいないでしょうか?」とスピーチしました。
ノーベル平和賞の際にスピーチを行った長崎の被爆者田中煕巳さんも、第五福竜丸無線長の久保山愛吉さんが亡くなった際、当時勤めていた東大生協の仲間と共に追悼の寄せ書きを久保山さんの家族に送りました。第一回原水爆禁止世界大会、被団協の設立、そして事務局長としての20年間と、被団協の歴史の証言者でもあります。
本講演では田中さんに被爆者として被団協と共に歩んだ歴史、そして核廃絶・非戦のための科学者の役割についてお話いただこうと思います。
◆講演者プロフィール◆
田中 煕巳(たなか てるみ)日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員。長崎原爆被爆者。被団協の事務局長を20年務める。元東北日本原水爆被害者団体協議会(被団協)元東北大学工学部助教授・十文字学園女子短期大学教授、博士(工学)(東北大学、1993年)。専門は材料工学
日時:2025年4月9日(水) 13時~15時
講演:藤本博(南山大学外国語学部元教授・PRIME研究員)
河内信幸(中部大学名誉教授)
司会:高橋博子(奈良大学教授・日本パグウォッシュ会議運営委員・PRIME研究員)
参加費:無料
場所:ZOOMウェビナーを利用したオンライン開催
申し込み: 要
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開催日時: 2025年4月9日 01:00 PM 大阪、札幌、東京
トピック: 日本パグウォッシュ会議公開講座「核時代における非戦」第4回
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◆第4回講座の趣旨◆
核兵器禁止条約締約国会議が開催され核兵器廃絶の機運が高まっている一方で、トランプ第二次政権成立以降、軍事力(核抑止)信仰が強まっています。1970年代末から80年代前半にかけてのレーガン軍拡の時代を彷彿させるような動きです。しかしこの時代の世界的に昂揚した反核運動の流れのなかで、陸井三郎氏はヨーロッパの反核運動昂揚の様子を紹介するととともに、軍拡(核抑止)に対する鋭い批判をしてきました。
2月に刊行されたばかりの『ベトナム反戦運動のフィクサー陸井三郎:ベトナム戦争犯罪調査と国際は知識人の軌跡』(彩流社、2025年)の共編者の河内信幸中部大学名誉教授には、1950年代から1960年代半ば、そして1970年代後半から1980年年代の陸井三郎氏の反核運動における貢献と人物像についてお話しいただきます。
同じく共編者の藤本博南山大学外国語学部元教授には、ベトナム戦争における戦争犯罪を告発したラッセル法廷(東京法廷を含めて)に焦点を置いて、陸井三郎氏の足跡を辿り、ベトナム戦争犯罪調査の歴史的意義と欧米とベトナム、日本のベトナム反戦を結び付けた「国際派知識人」としての貢献とその今日的示唆についてお話しいただきます。
本講座では、2025年4月30日のベトナム戦争終結から50周年を前にして、国際的な反戦・反核運動の意義について議論したいと思います。
◆講演者プロフィール◆
藤本 博(ふじもと・ひろし) 1949 年愛知県名古屋市生まれ。愛知県立大学外国語学部卒業、明治大学大学院政治経済学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(国際関係学)。愛知教育大学教授、南山大学外国語学部教授などを歴任。現在、明治学院大学国際平和研究所研究員。専門はアメリカ国際関係史(ベトナム戦争史)。主要業績:『ヴェトナム戦争研究――「アメリカの戦争」の実相と戦争の克服』(法律文化社、2014 年)、「ベトナム戦争論」(『岩波講座 世界歴史』第22 巻所収、岩波書店、2023 年)、『ベトナム戦争全史――歴史的戦争の解剖』(藤田和子、古田元夫との共訳、ガブリエル・コルコ著、陸井三郎監訳、社会思想社、2001 年)、『戦争の文化』上· 下(田代泰子、三浦俊章との共訳、ジョン・ダワー著、三浦陽一監訳、岩波書店、2021 年)ほか。
河内 信幸(かわうち・のぶゆき) 1950 年愛知県豊橋市生まれ。金沢大学法文学部卒業、立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学、名古屋大学大学院経済学研究科博士後期課程中退。博士(文学)。中部大学国際関係学部教授、ハーヴァード大学客員研究員、オハイオ大学客員教授などを歴任。現在、中部大学名誉教授。専門はアメリカ現代史・国際関係史。主要業績:『現代アメリカの諸相』(中部日本教育文化会、1991 年)、『ニューディール体制論――大恐慌下のアメリカ社会』(学術出版会、2005 年)、『グローバル・クライシス――世界化する社会的危機』(編著、風媒社、2011 年)、『現代アメリカをみる眼――社会と人間のグローバル・スコープ』(丸善プラネット、2012 年)ほか。
共催講座について:日本パグウォッシュ会議、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は市民に開かれたシンポジウムを共催してきました。包括的テーマは、当初の「核の脅威削減に向けて」から「パグウォッシュ会議と『非戦』の思想」、そして現在の「核時代における非戦」に変わりましたが、貫くものは、人類共滅を防ぐための、核廃絶と戦争放棄という、ラッセル=アインシュタイン宣言に示された理念です。特に今年度は、昨年来のウクライナでの戦争が収まらぬなか、核大国による国際法無視の武力行使という、私たちの理念に真っ向から挑戦するような現実が、目の前で展開しています。終末時計が、核時代が始まって以来、もっとも真夜中に近づいているのです。奈落の淵から引き返すため、私たちは、科学的知見に基づいて、新たな展望を社会に提供することをめざします。市民と科学者、宗教者が理性的に対話する場をひろげて、核兵器廃絶と非戦の道を歩む思想と運動を、一層豊かなものにしていきたいと願っています。